act.1 舞い降りた天使 2 | もしも君が迷ったなら

もしも君が迷ったなら

思いついた言葉を詩に。思いついたストーリーを小説に。

「……ん……」
「健太くん!」
 健太が目を開けると優子が心配そうに覗き込んでいた。
「ゆ……こ?」
「良かった……」
 涙を堪えながら、優子は呟いた。
「あれ……俺……」
 ここはどこだろう? と天井を見つめる。記憶があやふやだ。
「倒れてきた木材の下敷きになったの……」
 優子が不思議そうにしている健太に説明すると、ようやく思い出した。
「あー、そっか。……優子、怪我ない?」
 健太の問いに優子は頷いた。
「良かった……」
 健太は無事だった優子を見て、優しく微笑んだ。



 怪我を負った健太は入院することになった。
 悪魔はそれを見て、舌打ちをした。殺そうとしたのに、生きているとはしぶとい。
「チッ。運がいい奴め」
「お前は運が悪かったみたいだな」
 ふと声がして、後ろを振り向くと、天使がいた。
「何だ? お前」
「お前を消滅させに来たんだよ。イタズラが過ぎたな」
 しかし悪魔は呆れて言い返した。こんなところに天使がいるわけないのだから。
「はぁ? 何言ってんだ、お前」
「バイバイ」
 ヨクはそう言うと言霊を発動させる。
「ぎゃぁぁぁああ」
 悪魔は奇声を上げながら、消滅した。

 ヨクは病室の窓を覗いた。健太と優子の無事な姿を見て、安心する。
「良かったな」
 ヨクは二人を見て、笑顔を浮かべた。



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