「……ん……」
「健太くん!」
健太が目を開けると優子が心配そうに覗き込んでいた。
「ゆ……こ?」
「良かった……」
涙を堪えながら、優子は呟いた。
「あれ……俺……」
ここはどこだろう? と天井を見つめる。記憶があやふやだ。
「倒れてきた木材の下敷きになったの……」
優子が不思議そうにしている健太に説明すると、ようやく思い出した。
「あー、そっか。……優子、怪我ない?」
健太の問いに優子は頷いた。
「良かった……」
健太は無事だった優子を見て、優しく微笑んだ。
怪我を負った健太は入院することになった。
悪魔はそれを見て、舌打ちをした。殺そうとしたのに、生きているとはしぶとい。
「チッ。運がいい奴め」
「お前は運が悪かったみたいだな」
ふと声がして、後ろを振り向くと、天使がいた。
「何だ? お前」
「お前を消滅させに来たんだよ。イタズラが過ぎたな」
しかし悪魔は呆れて言い返した。こんなところに天使がいるわけないのだから。
「はぁ? 何言ってんだ、お前」
「バイバイ」
ヨクはそう言うと言霊を発動させる。
「ぎゃぁぁぁああ」
悪魔は奇声を上げながら、消滅した。
ヨクは病室の窓を覗いた。健太と優子の無事な姿を見て、安心する。
「良かったな」
ヨクは二人を見て、笑顔を浮かべた。