act.1 舞い降りた天使 3 | もしも君が迷ったなら

もしも君が迷ったなら

思いついた言葉を詩に。思いついたストーリーを小説に。

 翌日、優子はいつものように学校へ向かった。
 また今日も憂鬱な学校生活が始まる。
 優子は大嫌いな自分の顔を隠すかのように前髪を伸ばし、眼鏡をかけ、肩まで伸びた髪を伸ばしっぱなしにしていた。
 そして目立たぬように、ただじっと俯いている。目立つとイジメられる。目立たなくても「キモイ」とか「暗い」など悪口を言われるのだが、その方が幾らかマシだ。


 教室に行く前に職員室に寄った。恐らく健太の親が連絡しているとは思うが、担任に健太が入院している事情を説明するためだ。
 説明が終わり、職員室から出ようとした時、入れ違いで誰かが入ってきた。顔立ちのはっきりした綺麗な顔をした男の子だった。思わず見とれてしまう。
 目が合うと、彼はニコッと笑顔を向けた。突然の事でどう反応したらよいか分からない。
「おー。来たか」
 入ってきた彼に向かって、担任が声をかける。彼は担任に気づき、担任の元へと歩いて行った。
「俺が担任の林だ。よろしく」
「よろしくお願いします」
 彼は丁寧に頭を下げた。
「ちょうどよかった。木元」
「えっ、あ、はい」
 入り口で固まっている優子に気付いた担任が声をかける。
「転校生の空田翼くんだ」
 担任がそう紹介すると、翼は頭を下げた。つられて優子も軽く会釈する。
「彼女はうちの副委員長で、木元優子さんだ。木元、後で学校案内してあげてくれ」
「あ、はい」
 突然言われ驚いたが、とりあえず頷いた。
「よろしく」
 翼は人懐っこい笑顔で優子に近づいた。手を差し出されたので、優子も手を出し、握手をする。
「その前に転校生の紹介しないとな。教室行くぞー」
 担任に言われ、二人も教室へと向かった。



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